近年、富士フイルムのデジタルカメラに関する「生産終了」の話題がにわかに注目を集めています。SNSや検索エンジンでは、特定モデルの供給停止や販売終了をめぐって、ユーザーの間にさまざまな憶測が飛び交っています。
とりわけ、愛好家に支持されてきたコンパクト機種や高級スナップカメラの動向が注視される中、一部の情報が誤解を生む形で広まり、「ブランド全体が生産を終えたのでは」という懸念も生まれているのが現状です。
しかし、実際には富士フイルムが完全にデジカメ事業から撤退したわけではありません。むしろ、ラインナップの見直しを経て、特定モデルに経営資源を集中させるという選択を進めているのです。たとえば、長年親しまれたシリーズが静かに終売となる一方で、最新機種が世界的なヒットとなって再評価されるなど、新旧の動きが交錯しています。
本記事では、過去に人気を博したモデルの背景とその終了の理由、現行機種の魅力や今後の展開、さらには中古市場やフィルム製品の最新動向までを包括的に解説します。長く愛された名機たちの歩みを振り返りながら、現在の富士フイルムがどこへ向かっているのか、そしてこれからのカメラ体験に何を期待できるのかを、わかりやすくお伝えしていきます。
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富士フイルムのデジカメ生産終了が一部機種に限られている理由
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X100VやFinePixなど人気モデルの終了背景と市場動向
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現行モデルX100VIや今後の製品戦略の方向性
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中古市場やフィルム製品の現在の状況と選び方
富士フイルムデジカメの生産終了の真相と背景
- なぜ富士フイルムはデジカメの生産を終了したのか?
- X100Vは本当に生産終了したのか?
- finepixやXPなど人気シリーズの終了理由とは
- 富士フイルムデジカメを一覧で見る消えたモデルたち
- 富士フイルムの歴代カメラが築いたブランド力
- 富士フイルムデジカメの生産終了と時代の変化
なぜ富士フイルムはデジカメの生産を終了したのか?

なぜ富士フイルムはデジカメの生産を終了したのか?
富士フイルムはデジタルカメラ全体の生産を終了したわけではありません。終了しているのは、一部の低価格帯やコンパクトタイプのモデルです。その背景には、スマートフォンの高性能化に伴うコンパクトデジカメ市場の急速な縮小と、富士フイルムの事業戦略の明確な転換があります。
市場構造の変化と縮小
かつては1億台以上の出荷があった世界のデジタルカメラ市場も、2023年時点では年間出荷台数が約790万台(CIPA統計)まで落ち込んでいます。特に、価格帯が2~3万円程度の「エントリーコンデジ(コンパクトデジタルカメラ)」は、スマートフォンとの競争に敗れ、需要が激減しました。
富士フイルムが以前展開していた「FinePix」シリーズや「XP」シリーズは、まさにこのカテゴリーに該当します。防水・耐衝撃といった特徴はあったものの、多くのスマートフォンがIP68等級の防水性能や、AIによる画像補正機能を標準搭載するようになったことで、差別化が困難となりました。
採算性と生産効率の見直し
こうした状況下で、富士フイルムは採算の悪い製品群からの撤退を進めました。カメラ製品は高い精度と部品の供給体制が求められるため、モデル数が多いほど、生産ラインの管理コストや在庫リスクが増します。
例えば、エントリーモデルであるFinePixシリーズでは、販売台数が10年前と比較して5分の1以下まで減少し、開発・生産体制を維持するには厳しい状態でした。これに対し、上位モデルである「Xシリーズ」や「GFXシリーズ」は、写真愛好家やプロユーザーから根強い支持を得ており、利益率も高いため、富士フイルムはリソースをそちらに集中させる判断を下したのです。
富士フイルムの戦略的な方向転換
もう一つの重要なポイントは、ブランドの再定義とプレミアム路線へのシフトです。富士フイルムは単なる大量生産のコンデジメーカーから、芸術性や操作感にこだわる“写真文化の継承者”へとブランドポジションを変化させています。
実際、「X100V」や「X-T5」などの機種は、十数万円~数十万円という価格帯にもかかわらず、世界中で品薄が続くほどの人気を博しています。これらのモデルでは、フィルムシミュレーションやクラシカルな外観など、スマートフォンでは体験できない“撮影の楽しみ”を提供しています。
このように、富士フイルムが一部デジタルカメラの生産を終了したのは、単なる撤退ではなく、「より高付加価値で差別化された製品に集中する」ための戦略的な選択だったと言えるでしょう。今後も同社は、単にスペックで競うのではなく、写真体験の豊かさを重視した製品開発に力を入れていくと見られます。
X100Vは本当に生産終了したのか?

富士フイルム X100Vは本当に生産終了したのか?
富士フイルムX100Vは、2020年2月の発売以来、世界的に大ヒットした高級コンパクトデジタルカメラです。しかし、2023年に入り、富士フイルム公式が「X100Vは受注を一時停止し、生産終了予定である」と発表したことにより、市場に大きな波紋が広がりました。
まず、生産終了とされた主な理由の一つが「需要過多による供給困難」です。特に、2022年以降TikTokやYouTubeで「レトロで高画質なスナップカメラ」として人気が爆発し、SNS拡散の影響で注文が急増。日本だけでなく、米国や東南アジア市場でも在庫切れが続出しました。
また、半導体を含む一部部品の入手難やコスト高騰も生産継続の障壁となりました。富士フイルムはこのような状況の中、後継機「X100VI」の開発に注力する方針へとシフト。X100Vの製造ラインを終了し、リソースを新モデルに集中する形となりました。
その結果、中古市場では価格が高騰し、一部では新品時の定価17万円前後に対し、中古品が25万円以上で取引されるケースも報告されています。価格上昇と品薄が重なり、購入希望者は状態や保証内容を慎重に確認する必要があります。
結論として、X100Vは正式に生産終了とされましたが、それは失敗による終息ではなく、予想を上回る成功と後継戦略による「進化の一環」と言えるでしょう。
finepixやXPなど人気シリーズの終了理由とは

finepixやXPなど人気シリーズの終了理由とは
FinePixやXPシリーズは、2000年代から2010年代にかけて富士フイルムのコンパクトデジタルカメラ市場を支えてきた代表的な製品群です。
とりわけFinePixは2000年発売の「FinePix 4700Z」などで注目を集め、2003年には年間100万台を超える販売実績を記録したこともあります。一方、XPシリーズは2010年に登場し、防水・耐衝撃・耐寒・防塵という“4つの耐性”を備えたアウトドア向けモデルとして人気を博しました。
しかし、これらのシリーズはすでにすべて生産終了となっています。その背景にはいくつかの構造的な変化があります。第一に、スマートフォンの技術進化です。特にiPhone 12以降のモデルではIP68等級の防水性能が標準装備され、日常的なアウトドア活動においてカメラの代替品として十分な性能を発揮しています。
第二に、アクションカメラ市場の台頭です。GoProシリーズやDJI Osmo Actionなど、より小型で高画質、動画撮影に特化したカメラが登場したことで、XPシリーズの優位性が薄れていきました。さらに、エントリーモデル市場では価格競争が激化し、専用機で利益を上げることが難しくなっていったのです。
こうした外部環境の変化により、富士フイルムはコスト対効果の観点から、これらのシリーズを段階的に整理。2020年以降、新モデルの発表はなく、事実上のライン終了が確定しています。現在ではXP140が最終モデルとなっており、公式サイトからも掲載が削除されています。
富士フイルムデジカメを一覧で見る消えたモデルたち

富士フイルムデジカメを一覧で見る消えたモデルたち
富士フイルムがかつて展開していたデジタルカメラシリーズを一覧で振り返ると、技術革新の歴史と市場の移り変わりが鮮明に浮かび上がります。特に2000年代から2010年代にかけては、多様なシリーズが並行して展開され、ユーザーの利用目的やレベルに応じたラインナップが揃っていました。
主なシリーズと特徴
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FinePix Aシリーズ
入門者向けの低価格帯モデルとして、2002年頃から登場。代表的なモデル「A210」や「A330」などは、約300万画素から500万画素クラスで、当時のエントリーユーザーに最適な選択肢でした。操作が簡単で、家庭用カメラとして人気を博しました。 -
FinePix Fシリーズ
高感度撮影を得意としたシリーズで、「F30」「F31fd」は高ISO性能と低ノイズ性能が評価され、暗所撮影でも優れた画質を実現。コンパクトながら画質に妥協しない点が、カメラファンの間でも高く評価されました。 -
FinePix Sシリーズ
一眼レフ風のボディを持つ高倍率ズームモデル群。特に「S100FS」や「S200EXR」などは、当時のコンパクトデジカメとしては異例の1/1.6型センサーを搭載しており、マニュアル操作にも対応していました。 -
FinePix Zシリーズ
スタイリッシュで薄型なデザインが特徴。タッチパネルを搭載した「Z900EXR」などが人気で、主に若年層や女性ユーザーをターゲットにした製品群です。 -
FinePix XPシリーズ
防水・耐衝撃・耐寒・防塵の“タフネス性能”を備えたシリーズ。XP60からXP140まで展開され、アウトドアや旅行用のカメラとして安定した人気を持っていました。
市場からの撤退と背景
これらのモデル群は、2010年以降スマートフォンの急速な普及とともに売上が大きく減少。たとえば、2010年には国内のコンパクトデジカメ出荷台数は約960万台に達していたものの、2020年にはわずか82万台と、約90%も減少しています。
このような市場環境の変化により、富士フイルムは高付加価値なミラーレスカメラ「Xシリーズ」にリソースを集中。これに伴い、FinePixシリーズは順次終売となり、現在では公式サイトの製品一覧からも姿を消しています。
これらの「消えたモデルたち」は、単なる古い製品というだけではなく、当時のユーザーニーズに的確に応えていた技術の結晶です。現在の富士フイルムの高評価につながる“ものづくり精神”は、これらのシリーズにも脈々と受け継がれていたのです。
富士フイルムの歴代カメラが築いたブランド力

富士フイルムの歴代カメラが築いたブランド力
富士フイルムは、1934年に写真フィルムの製造からスタートした企業であり、その後のカメラ開発においても日本を代表する存在として地位を築いてきました。特に歴代のデジタル・フィルムカメラの名機は、単なる製品としてだけでなく、“写真文化の担い手”としてブランド価値を押し上げてきた立役者です。
初期の名機と技術革新
例えば、2000年に登場した「FinePix 4700Z」は、スーパーCCDハニカムセンサーを初搭載したモデルとして注目されました。このセンサーは、有効画素数240万画素ながら、独自の補間技術により最大で436万画素相当の高解像度画像を生成可能でした。この時点で他社と差別化された画質を提供できたことは、富士フイルムの技術力を世に知らしめる契機となりました。
Xシリーズとブランドイメージの確立
2012年に登場した「X-Pro1」は、富士フイルムのブランド価値を大きく飛躍させたミラーレス一眼カメラです。独自開発の「X-Trans CMOSセンサー」は、光学ローパスフィルターレスでありながらモアレを抑え、フィルムのような繊細な画質を再現可能としました。加えて、「クラシッククローム」や「Velvia」といったフィルムを模した“フィルムシミュレーション”機能も、富士フイルムならではの価値として多くのフォトグラファーに支持されています。
写真文化を支える存在へ
これらの革新的な製品群に共通しているのは、「色」に対するこだわりです。富士フイルムはかつてフィルムメーカーとして培った色彩設計技術を、デジタル時代に見事に昇華させました。こうした姿勢により、単なるカメラメーカーではなく、“作品づくりのパートナー”としてのブランドポジションを確立しています。
現在では、X-TシリーズやX-Hシリーズといったプロ・ハイアマチュア向けモデルも評価が高く、富士フイルムのブランド力は国内外で強固なものとなっています。これは、単なる製品スペックではなく、写真を撮る「体験」そのものに価値を提供し続けてきた結果と言えるでしょう。
富士フイルムデジカメの生産終了と時代の変化

富士フイルムデジカメの生産終了と時代の変化
富士フイルムが一部のコンパクトデジタルカメラの生産を終了した背景には、単なる製品戦略の転換ではなく、写真撮影のあり方そのものが変化したという時代的な要因があります。
かつて「FinePix」シリーズを中心に、富士フイルムはコンパクトデジカメ市場において大きな存在感を放っていました。しかし、2010年代後半以降、スマートフォンの急速な技術進化により状況は一変します。例えば、2023年時点でのスマートフォン出荷台数は全世界で約12億台にのぼり、その多くが複数の高性能カメラを標準搭載するようになりました。AppleのiPhoneシリーズやGoogle Pixelは、AIによる画像補正技術やナイトモード、望遠ズームなどを実装し、一般ユーザーがカメラを意識せずとも高品質な写真を撮影できる時代となっています。
一方で、コンパクトデジカメの世界出荷台数は、2010年の約1億台から、2022年にはわずか300万台前後にまで激減。これは約96%の市場縮小を意味しており、多くのメーカーが採算を見直さざるを得ない状況に追い込まれました。
富士フイルムもまた、こうした大きな市場の変化に対応する形でエントリーモデルの開発・供給を段階的に縮小。一方で、高画質を求める写真愛好家やプロ向けに、Xシリーズを中心としたミラーレス一眼の分野へと経営資源を集中させています。
このように、富士フイルムの動きは単なる自社戦略にとどまらず、カメラ業界全体が迎えている大きな変革の波を象徴しているのです。
富士フイルムデジカメの生産終了後の注目と展望
- X100VIが大ヒットの理由は?人気の秘密を徹底解説
- X100VIの進化と他機種との違い
- 富士フイルムの2025年の新製品は何が出る?
- 富士フイルム製品一覧から見る今後の戦略
- 富士フイルムコンデジの名機と呼ばれたモデルたち
- 中古市場で再注目される富士フイルム デジカメ
- 富士フイルムのフィルムの生産終了はいつですか?
X100VIが大ヒットの理由は?人気の秘密を徹底解説

富士フイルムX100VIが大ヒットの理由は?
富士フイルムのX100VIは、2024年に登場して以来、世界中の写真愛好家や映像クリエイターの間で爆発的な人気を誇るモデルです。その理由は、単なるスペックの向上にとどまらず、「見た目」「機能」「体験価値」のすべてを高度に融合させた製品だからです。
まず、X100VIはクラシックカメラを思わせるレンジファインダースタイルを採用し、アルミ削り出しの高品位ボディにより、所有欲を満たすデザイン性が際立っています。特にミレニアル世代やZ世代を中心に、「スマホでは味わえない体験」としてSNSでの拡散力が高く、InstagramやYouTubeでも「#X100VI」の投稿が急増。発売後わずか数週間で初回出荷分が完売するほどの注目度となりました。
次に、撮影性能の面では、X100シリーズ初となる「最大7.0段のボディ内手ブレ補正(IBIS)」を搭載。また、新型の「X-Trans CMOS 5 HRセンサー」(約4020万画素)と「X-Processor 5」により、静止画と動画の両面で高い描写力を実現しています。AF性能も大幅に強化されており、被写体認識AFが人物や動物だけでなく、車両や飛行機にも対応。これにより、動きのあるシーンでも精密なフォーカスが可能です。
さらに、4K/60pの動画撮影や10bit 4:2:2出力など、Vlogやシネマティック動画の撮影にも対応。従来のX100Vよりも動画ユーザーにとって魅力的な仕様となっており、静止画・動画どちらを重視するユーザーにも受け入れられやすい設計です。
価格は税込約25万円前後と、コンパクトデジカメとしては高額ですが、それでも需要が供給を大きく上回る状況が続いています。これは、単なるスペック競争ではなく、「カメラを使う喜び」を提供できる製品として、多くのユーザーの心をつかんでいる証拠といえるでしょう。
X100VIの進化と他機種との違い

富士フイルムX100VIの進化と他機種との違い
富士フイルムX100VIは、前モデルX100Vから多くの点で顕著な進化を遂げています。中でも注目されるのが、「ボディ内手ブレ補正(IBIS)」の搭載です。これはX100シリーズとして初の試みで、最大7.0段分の補正効果を持ち、夜間撮影や低速シャッター使用時でも手ブレの少ない撮影が可能になりました。
さらに、センサーは従来の2610万画素(X-Trans CMOS 4)から、4020万画素の「X-Trans CMOS 5 HR」へと刷新され、より緻密な描写を実現。細部まで鮮明な解像力が求められる風景やスナップ撮影において、その差は明確です。また、画像処理エンジンも最新の「X-Processor 5」に進化し、AF速度や画像処理のレスポンスが向上しました。
X100VIの大きな特徴として、「固定式23mm F2レンズ」の存在があります。ズームレンズや交換式レンズを採用する他のXシリーズ(例:X-T5やX-S20)と異なり、光学設計が一貫して最適化されているため、画像周辺部まで高い解像力と低ディストーションを維持しています。このレンズは35mm判換算で約35mm相当となり、スナップや日常撮影に非常に適した焦点距離です。
一方で、X-TシリーズやX-Hシリーズといった上位機ではレンズ交換による自由度があり、用途の幅広さが魅力ですが、X100VIは「カメラ一台で撮影に集中できる」という明確なコンセプトを持っています。そのため、撮影スタイルが定まっているユーザーや、レンズ選びに悩まされたくない人にとっては、非常に理にかなった選択肢と言えるでしょう。
このように、X100VIは高画質と携帯性、そして高機能を高次元でバランスさせたモデルであり、他のXシリーズとは明確に差別化された存在となっています。
富士フイルムの2025年の新製品は何が出る?

富士フイルムの2025年の新製品は何が出る?
2025年における富士フイルムの新製品ラインナップは、プロフェッショナルおよびハイアマチュア層を中心に注目が集まっています。現時点で正式なリリースは発表されていませんが、業界内ではXシリーズの新フラッグシップモデル「X-T6」や、大判センサー搭載の「GFX100S II」などの登場が噂されています。
X-T6に関しては、現行のX-T5の後継機として、約4000万画素のX-Trans CMOS 5 HRセンサーを継承しつつも、改良されたEVF(電子ビューファインダー)、さらなるAF精度の向上、高速連写性能(最大30コマ/秒)、そして動画機能の強化が想定されています。動画面では6K/60pまたは8K/30pの内部収録が可能になる可能性も指摘されています。
一方、GFXシリーズに関しては1億画素超の中判センサーを搭載するモデルのブラッシュアップが期待されており、より高速なAF性能、小型化されたボディ、そしてAIによる被写体認識アルゴリズムの搭載などが予測されています。価格帯はXシリーズが15〜25万円前後、GFXシリーズが40〜60万円のレンジで展開される見込みです。
これらの製品動向は、富士フイルムが引き続き“高付加価値型”の戦略をとる方針を裏付けるものです。特にスマートフォンとの差別化が求められる現在、独自の色再現技術やフィルムシミュレーション、クラシカルなデザインと現代技術の融合といった要素を盛り込んだ製品群が、今後も市場での存在感を高めていくと考えられます。
富士フイルム製品一覧から見る今後の戦略

富士フイルム製品一覧から見る今後の戦略
富士フイルムの公式サイトやカタログに掲載されているデジタルカメラ製品ラインナップを見ると、同社の明確な市場戦略が浮き彫りになります。
現在、主力はAPS-Cセンサー搭載の「Xシリーズ」と中判センサーを採用した「GFXシリーズ」の2本柱です。これにより、入門層ではなく、中級者からプロフェッショナルに照準を合わせた商品展開が際立っています。
まずXシリーズでは、X-T5やX-H2などが高性能モデルとして展開されており、4K/60pの動画撮影や高速AF、4000万画素センサーなど、スマートフォンにはない機能性を追求しています。また、GFXシリーズでは1億200万画素のセンサーを搭載したGFX100 IIがフラッグシップとして存在し、商業写真やスタジオ撮影向けのニーズをカバーしています。
こうした製品構成から見えるのは、もはやエントリークラスのコンパクトデジカメを主力に据えるのではなく、高付加価値・高単価な製品に経営資源を集中しているという事実です。さらに、近年は動画性能への注力も目立っており、X-H2Sでは6.2K/30pの動画記録が可能となるなど、シネマカメラ市場にも対応しつつあります。
将来的には、AIによる被写体認識やトラッキングAFの精度向上、さらにRAW動画の内部収録といった高度な映像技術の統合が進むと予想されます。また、純正アクセサリーやソフトウェアとの連携強化も進んでおり、カスタマイズ性や拡張性を武器に、富士フイルムは“選ばれる理由”をユーザーに明確に提示し続けているのです。
富士フイルムコンデジの名機と呼ばれたモデルたち

富士フイルムコンデジの名機と呼ばれたモデルたち
富士フイルムが過去に世に送り出したコンパクトデジカメの中には、現在でも“名機”として語り継がれるモデルが多数存在します。
特に「FinePix F31fd」は、2006年の発売当時としては画期的だった高感度性能とバッテリーの持続時間で大きな評価を得ました。ISO1600でもノイズが少なく、夜景や室内でも十分な画質を確保できた点は、同世代の他社製コンデジを大きくリードしていたのです。
また、「X10」や「X20」シリーズは、クラシカルなデザインと1/2.3型センサーを超える描写力で支持を集めました。特にX10は、明るいF2.0〜2.8のズームレンズとメカニカルズームリング、EXR CMOSセンサーを搭載し、“ただのコンデジ”にとどまらない本格派モデルとして登場。さらに、X70はAPS-Cセンサーを搭載しながらもポケットサイズを実現したモデルとして、スナップ用途における最適解として長らく愛されてきました。
こうした名機たちは、製造終了後も中古市場で高い人気を維持しています。例えば、状態の良いF31fdは2024年現在でも1万円前後で取引されており、発売当時の定価(約4万円)の約1/4であるにもかかわらず、18年経っても需要が残っていることは異例です。X70に至っては、発売時の価格を超えるケースも珍しくなく、マニア層の間ではプレミアがつくこともあるほどです。
これらのモデルは単なる“カメラ”ではなく、時代の制約の中で富士フイルムが示した技術力と設計思想の結晶であり、コンデジの可能性を押し広げた象徴的存在でした。その価値は今なお色褪せていません。
中古市場で再注目される富士フイルム デジカメ

中古市場で再注目される富士フイルム デジカメ
富士フイルムの一部デジタルカメラが生産終了となったことにより、中古市場ではこれらのモデルに対する関心が急激に高まっています。
特に人気が集中しているのは「X100V」や「X70」、「FinePix F31fd」など、過去に高評価を得たモデルです。X100Vに関しては、供給不足と人気の高さから、中古価格が新品時(約18万円)を超え、2024年時点で20万円以上で取引されるケースも珍しくありません。
このような高騰の背景には、単なるカメラとしての性能だけでなく、「撮影体験の良さ」や「デザイン性」、「フィルムシミュレーションなどの富士フイルム独自機能」が挙げられます。また、生産終了による希少価値の上昇が投資的価値を生み、一部では“資産”としての視点から購入される動きも見られるのが特徴です。
ただし、こうした中古カメラの購入には注意点も多く存在します。たとえば、シャッター回数が10万回を超えている個体は寿命が近い可能性があり、購入前にはチェックが欠かせません。また、バッテリー劣化や液晶の焼き付き、AFモーターの異音など、経年劣化による不具合も無視できません。
購入する際は、信頼性の高い中古専門店を選ぶことが推奨されます。大手中古カメラショップでは、動作確認済み・保証付きの商品が多く、状態ランクも明記されているため、初心者にも安心です。さらに、オンライン販売サイトでも詳細な画像や説明が掲載されている場合があり、納得のいく買い物につながるでしょう。
富士フイルムの中古デジカメ市場は、もはや「消耗品」ではなく「選ばれる趣味機材」として確固たる地位を築いています。今後もプレミア化が進む可能性があるため、興味があるなら早めのチェックが賢明です。
富士フイルムのフィルムの生産終了はいつですか?

富士フイルムのフィルムの生産終了はいつですか?
富士フイルムの写真用フィルム製品は、過去10年以上にわたって段階的な生産終了が進められています。これは主にデジタルカメラの普及による需要の減少、生産コストの上昇、原材料の入手難によるものです。たとえば、2021年にはアメリカ市場でVelvia 100(135・120サイズ)が環境規制の関係で販売中止となりました。また、Pro 400Hは同年3月に製造終了が発表され、2022年に流通を終えています。
ネガフィルムやリバーサルフィルム(スライドフィルム)のラインナップも大幅に縮小されており、現在入手可能なプロ向けカラーフィルムは限られた種類のみです。特に「業務用100」や「Superiaシリーズ」は、すでに流通在庫のみの状況です。
一方で、「Instax(チェキ)」シリーズのインスタントフィルムは例外的に好調を維持しています。2023年時点では年間1億枚以上のフィルムが生産されており、特にZ世代を中心に再評価が進んでいます。富士フイルムもこの需要を受け、Instax mini Evoなどの新型機種を積極的に投入しています。
このように、富士フイルムは一般向けフィルム市場からは徐々に撤退しつつも、収益性の高いニッチ分野やインスタントカメラ市場に注力する戦略をとっています。フィルム写真文化そのものが消滅するわけではありませんが、選択肢は今後ますます限定されていくことが予想されます。フィルムを必要とするユーザーは、早めの確保と代替品の検討が重要となるでしょう。
「富士フイルムのデジカメは生産終了?今後の製品ライン展望」に関する総括
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富士フイルムはすべてのデジカメを生産終了したわけではない
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終了対象は低価格帯のコンパクトデジカメに限定されている
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スマートフォンの高性能化がエントリーモデルの需要を急減させた
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FinePixやXPシリーズは市場競争力を失い終了した
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エントリーモデルの販売台数は10年で5分の1以下に減少
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コンパクトデジカメ市場の世界出荷台数は1億台から300万台まで激減
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スマホのIP68防水やAI補正が専用カメラを代替する存在になった
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生産効率と採算性の見直しが戦略転換の大きな要因
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富士フイルムはXシリーズやGFXシリーズにリソースを集中
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ブランドは大量生産型から高付加価値路線に再定義された
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X100Vは生産終了したが、後継機X100VIが登場し進化が続いている
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X100Vは需要過多と部品調達困難で供給が停止された
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生産終了モデルは中古市場でプレミア価格がつく場合もある
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富士フイルムはフィルムも一部製品を段階的に終了している
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Instaxシリーズなど一部のニッチ市場では生産を継続している